祖父と祖母は、どこで出会い、なぜ結婚したのだろう。
友人の恋の話なら「それで、どうなったの?」と聞くのに、自分の家族の恋となると、なぜか聞きそびれている。考えてみれば、ずいぶん身近なところに、まだ聞いていない物語がある。
家系図を作りながら、僕が気になるようになったのは、名前の先にある一人ひとりの人生だった。
「おじいちゃん」になる前の、その人を知りたい。
祖父母にも、親になる前、祖父母になる前の時間がある。進路に迷い、誰かを好きになり、仕事や暮らしを選んできた。その積み重ねの先に、僕たちが知る顔がある。父や母も同じだ。
何歳で結婚したかは、戸籍から分かる。でも、なぜその人と生きようと思ったのかは、戸籍には書かれていない。
家系図に引く一本の線の向こうに、どんな出会いや決断があったのだろう。そう考えると、家系図は過去を整理するだけでなく、目の前の人を知るための入口になる。
「いつか聞こう」の、いつかは決まっていない。
30代になった今、若い人に一つ伝えるなら、身近な人の話を聞く時間を、少しだけ早めに持ってみてほしい。これは、自分自身にも言っている。
いつお別れが来るかは分からない。生きていても、病気などで、それまでのように言葉を交わせなくなることもある。「会えること」と「じっくり話を聞けること」は、必ずしも同じではない。
だから、知りたいことを聞くのと一緒に、感謝や愛情も言葉にしたい。「あのとき、うれしかった」「会えてうれしい」。大げさな言葉でなくても、伝わるうちに渡しておきたい。
家系図を広げて、一つだけ聞いてみる。
改まって「人生を語って」と頼むと、少し構えてしまうかもしれない。そこで、分かる範囲の家族の名前を紙に書いて、一緒に眺めてみる。
「ひいおばあちゃんは、どんな人だった?」
「二人はどこで出会って、結婚しようと思ったの?」
「人生で一番大変だったこと、楽しかったことは?」
「ずっと大事にしてきた言葉ってある?」
全部聞く必要はない。答えから生まれた疑問を、一つずつ。語りたくないことを無理に聞かず、その人のペースで話してもらう。残しておきたい話は、了承を得てメモや録音に。
家族との距離や事情は人それぞれだから、無理に会う必要はない。ただ、会いたい人が浮かんだなら、その気持ちは後回しにしなくていいと思う。
僕の家系図づくりも、まだ途中です。
僕はすっかりこの調査にはまり、祖父のルーツにつながるお寺を特定して訪ね、住職とも連絡を取っている。父方の一本だけでなく、母の家系や祖母の家系へも枝を広げている。
家系図づくりに興味があれば、コメントで教えてください。関心を持つ方が多ければ、詳しい作り方や、集めた情報の整理方法も記事にするつもりです。
すでに作成している方とも、ぜひつながりたいです。読んでよかった本や調査の工夫があれば、個人情報を伏せて教えてほしいです。
家系図が完成するのを待つ必要はない。
「今度、少し話を聞かせて」
その一言から、始まる時間がある。
執筆:R.







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